第27章 最悪の再会
その声が耳に届いていながらも、二人は止まることを知らない。
何度目かの反撃をくらい倒れたサスケの襟元を掴み壁に押さえつけ、イタチはその耳元で囁いた。
「お前は弱い。なぜ弱いか…。足りないからだ、憎しみが…。リエの優しさに甘え溺れているお前など、俺の足元にも及ばない。リエを守る力さえ、お前にはない」
イタチの言葉がサスケの心に重く圧し掛かる。
「自分がどれだけ無力か、思い知るがいい。これから二十四時間…お前には“あの日”以上の地獄を見せてやろう」
その直後イタチが何をしたのか、急にサスケが叫びだした。
イタチの紅い瞳には、普通の写輪眼とは違った黒い模様が浮かび上がっている。
イタチの仲間によれば、それは写輪眼の上位の眼“万華鏡写輪眼”。
そして今サスケにかけた術は、“月読”というらしい。
その効果は傍目にはわからないものの、サスケの悲痛の叫びがリエの胸を更に締め付け、こらえていた涙が溢れた。
もう見ていられなかった。
足が勝手に駆けていた。
目の前に立ち塞がる大刀を持つ大男を風のようにかわし、二人の元へと走る。
背後で上がった驚愕の声や制止の声など、リエの耳には入ってこなかった。
ただ、目の前の大切な人達しか、見えていなかった。
「イタチ、お願い…もう……」
震える手でサスケを掴む彼の手を掴み、リエはイタチに小さくそう言葉をかける。
「これ以上…傷つけないで……」
サスケを
そして、自分自身を。