第27章 最悪の再会
「…リエか」
しかしリエの名を呼ぶイタチの瞳だけは以前と違った。
リエが大好きだった、柔らかく優しい眼差しはそこにはなく、射抜くような鋭い視線をリエに向けている。
「…リエ…くるな…」
苦しげな声でにそう絞り出したのは、イタチの足元で蹲るサスケだ。
彼の左手首が変に折れ曲がっていることに、リエはすぐに気付いた。
そしてそれをやったのがイタチなのだということも、わかってしまった。
青い果実 27
イタチには只ならない事情があって、一族を滅亡させたのも、里を抜けたのも、誰にも言えない理由があってのことだと思っていた。
うちは一族でサスケだけを生かしたのは、イタチが誰よりもサスケを大切に思っていて、助けてくれたからだと思っていた。
言葉に出すことはなかったけれど、どこかでずっとイタチとの再会を夢見てた。
でも、こんな形での再会を望んだわけではない。
「どうして…なんでイタチ?」
あんなに大事にしていたサスケに。
あんなに優しく見つめていたサスケに。
「なんでこんなことするの?!」
あんなに仲の良かった兄弟なのに、どうしてこんなことになってしまったのか。
どうして争わなければならないのか。
どうして傷付け合わなければいけないか。
リエには何もわからなかった。
イタチは黙ったまま冷ややかな視線をリエに送っていた。
その表情から、感情は読み取れない。