第26章 暗雲
団子を買ってサクラと別れ、カカシの家へと向かう。
本選試験前に修行をつけてもらったせめてもの礼にと、カカシへのお土産にしたのだ。
自己紹介のときにはぐらかされたので好き嫌いは知らない為、サスケのように甘いものは嫌いかもしれないと懸念し、色々考えて種類はたくさん用意してきた。
((アンコさんならあっという間に食べちゃう量だけど、普通なら二・三人前かな。食べ切れないだろうけど、お友達と食べてもらえばいいか。カカシ先生がお友達と団子パーティー…なんか想像出来ないや))
クスリと笑ってカカシの家の扉をノックする。
中から人の気配がするので在宅だろう。
「先生、リエです。失礼します」
一声かけて中に入ると、部屋にいた上忍三人が一斉にリエの方を向いた。
ガイ、アスマ、紅である。
彼らの中心には、部屋の主であるカカシが、ぐったりと布団に横たわっていた。
上忍達の神妙な顔つきからも、何か大変なことがあったのは明らかである。
「あの…何があったんですか?なんでカカシ先生、こんな……」
先程まで元気だったカカシが、いきなり寝込むなんておかしい。
先ほどの茶屋での上忍達の行動から、誰かと戦い、やられたのは間違いないだろう。
外傷はないようだが、リエが入ってきても眉ひとつ動かさないほどに憔悴しているカカシ。
彼の実力は木ノ葉でもトップレベル。
そのカカシをここまでにするなんて、並大抵の相手でないことは明らかだ。
その場にいた上忍達はあからさまにリエから視線を外し、口を濁している。
そのとき。