第26章 暗雲
リエは彼の服の隙間から見え隠れする首の呪印を盗み見た。
カカシが封印術を施してくれて以来それは大人しくしているようではあるが、リエの不安は消えることはなかった。
大蛇丸がサスケにこの呪印を残したこと、大蛇丸の言葉からも、目的はわからないが彼がサスケを欲しているのは明白だ。
彼は…大蛇丸は、誰もが認める強さと、強大な力を与える術を持っている。
“恋人”という存在と“目的を成すための力”
…もしも選択を迫られたとき、サスケはどちらを選ぶのだろうか。
ふいにそんな不安がリエの胸に押し寄せてくる。
「サスケ…ずっと、傍にいてね…」
リエが彼の耳元でそう囁くと、サスケは一瞬目を丸くして優しく微笑んだ。
そしてそっとリエの頬に手をかけ引き寄せ、二人の唇が重なろうとしたとき…
忍鳥の声が空に響いた。
どうやら自分達に用があるようである。
「……カカシか…ちっ!こんなときまで邪魔しやがって…」
「ふふ…なんの用だろうね?」
二人は腰をあげ、カカシに指定された茶屋へ向かった。