第26章 暗雲
あの襲撃が…木ノ葉崩しが嘘だったかのような、穏やかな平和な日が続いていた。
里の上層部も、里長たる火影が亡くなって混乱しているのか忙しいのか、はたまた両方か、
第七班はDランクである里の修復作業以外の任務はほとんど割り振られなくなり、リエとサスケは一緒に屋外でのんびり過ごす時間がつくれていた。
青い果実 26
修行に明け暮れる毎日から、中忍選抜試験での死闘、そしていきなりの奇襲。
精神的ケアから里の復興と、休みなく動いていたリエを気遣ってくれたのか、里の修復を手伝うと主張したリエをサスケが半ば無理やり連れてきたという感じである。
とは言うものの、リエはサスケの気遣いに感謝していた。
心身共にゆったりと過ごす時間がなく、疲れていたのも事実だったからだ。
「こんなのんびりした時間、久しぶりだね。試験が始まってから、ずっとバタバタしてたから…」
実際皆の協力あって、里の方はもうほとんど元通りになっている。
あの事件から、それだけの時間があっという間に過ぎてしまったのだ。
空を見上げるサスケにそう微笑みかけ、リエが自分の膝にある彼の頭を優しく撫でると、少し伸びた髪の間からサスケの耳に付けられた紅いピアスが太陽に反射してキラリと光った。
「…そうだな」
そう短く答え、サスケは気持ちよさそうに目を瞑った。