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青い果実【NARUTO】

第25章 木ノ葉崩し




我愛羅との戦いを終え里へ帰って来たサスケは、彼との戦いで負った身体の痛みに耐えながら、駆け足で家へと向かっていた。

崩れた屋根瓦や売り物だったのであろう散乱した果物などを避けて走っていると、負傷した商店街の人の姿が見受けられた。

被害はそこまで大きくはないものの、里がこんな状況になっているなんて、知らなかった。

負傷した里の者達は見た感じ軽度な怪我だったが、サスケの不安は大きくなる。

今彼の頭にあるのは、リエのことだけだ。





中忍試験を受ける日に出て以来の久しぶりの我が家へと着くと、中からは温かい光が漏れていた。

家自体も被害はない。
表通りから外れたところにあるのが幸いしていたようだ。


扉を開けると、玄関の隅で蹲っていたリエがパッと顔を上げた。

リエの無事を確認し、サスケはホッと胸をなで下ろす。

「…おかえりなさいサスケ!」

駆け寄って来てくれたリエの顔は、いつもより青白く見えた。

「無事でよかった…本当に、よかった…」

そう言って、リエは笑う。

けれど、その笑顔がぎこちないこと…目が腫れていることに、サスケはすぐに気づいた。

「……あぁ」

その原因は、自分を心配してくれていただけではないだろう。

荒れた里中で、皆がその話をしていた。


”三代目火影猿飛ヒルゼンが、死んだ”


昔から、リエが三代目と親しくしていたのは知っていた。

菓子を作ると当たり前のように火影の元へ届け、一緒にお茶をしてきたと楽しそうに笑っていたのも、よく覚えている。

火影もまた、リエが大切に思う一人だったのだ。


「……ただいま」

彼女が今、一番安心出来るであろう言葉をかけて、サスケはリエを抱きしめる。

そのまま黙って優しく頭を撫でると、リエは身体を小さく震わせ、ギュッと強く抱きしめ返してきた。


いつの間にか降り出した雨の、屋根を叩く音だけが耳に届く。

今は、それでいい。

言葉はなくても、この温もりが、きっと悲しみを和らげてくれるから。
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