第25章 木ノ葉崩し
彼らが去った後、リエはカカシ達と共に、先程まで結界が張ってあった場所へ向かった。
すでにそこには会場にいた暗部や上忍、中忍が何かを囲むように円形に集まっていた。
彼らの沈んだ表情の理由は、その中心にあった。
「………火影さま……」
忍び装束を纏った三代目火影が、静かにそこに横たわっていた。
その瞼を開けることはもう、ない。
「三代目は…風影に化けていた大蛇丸と戦い…奴に致命傷を与えて退けたんだ。その……命を懸けて……」
震える声でそう説明したのは、火影の側近の上忍だった。
「……おじいさま……」
溢れた涙がリエの頬を伝う。
それを見てか、カカシがそっとリエの肩を抱いた。
『悲しいときは思い切り泣けばよい。しかし、いつまでも泣くばかりでもいかんぞ』
激しい戦闘によって傷付いた三代目の皺だらけの顔を見つめていると、生前の彼の優しい声が脳裏をよぎった。
『よいか、リエ。おぬしは独りではない。木ノ葉の里に住む者、皆が家族じゃ。困ったときは頼ればいい。寂しければ甘えればよい。無論、遠慮などせず、わしにもそうしていいのじゃぞ。わしはおぬしの”おじいさま”でもあるのだからな』
そう言って頭を撫でてくれたのは、父親を亡くしてすぐの頃だった。
幼い頃からずっと、三代目にはよくしてもらってきた。
いつも、本当の孫のように可愛がってくれた。
どんなときでも笑いかけてくれた。
そんな三代目の笑顔が、大好きだった。
どんなに泣いても、亡くなった人は帰ってこない。
そんなことはわかっている。
それでも、涙が止まらなかった。
リエはまた一人、大切な人を
大切な家族を、失ってしまったのだ。