第25章 木ノ葉崩し
どうにか砂忍を退けたリエ達は、先程まで試合が行われていた会場の真ん中で、この騒ぎの中心の人物と対峙していた。
「そんな……」
思わず出た呟き。
リエにとって信じられない人物が目の前で笑っていたからだ。
そこにいたのは、我愛羅達の引率者の砂の上忍と、中忍選抜試験でリエ達を色々助けてくれた…
薬師カブト。
「どうして、カブトさんが……」
「奴は音のスパイだ」
驚きの声をあげるリエの隣で、カカシが静かに答える。
その様子から、カカシはこのことを知っていたのだろうかとリエは思った。
「リエちゃん、最初は普通の女の子だと思っていたけど、なかなか侮れない素質があるようだね。大蛇丸様が君を欲しがるのも、少し理解出来たよ」
カブトの言葉に、リエは大蛇丸に言われたことを思い出す。
『理恵ちゃん、あなたも早く力を取り戻しなさい。昔のあなたはとても魅力的だったわ…それこそ、“うちは”と同じか……それ以上にね』
今なら、あの言葉の意味がわかる。
大蛇丸は、母の死によって暴走した風使いとしてのリエの力のことを知っていたのだ。
そして、その力を狙っている。
うちはの血が流れる、サスケと同じように。
「いつかきっと僕達はまた会うことになる。そのときを楽しみにしているよ。では……」
そう言い残し、煙幕と共に彼らは消えた。