第24章 中忍試験〜本選〜
ゲンマの合図で試合が開始する。
リエはニヤニヤと余裕の笑みを浮かべるドスを見据えた。
死の森ではリーと彼の戦いをまじまじと見ていられる余裕はなかったが、三次試験のチョウジとドスの試合を見ていた為、彼の戦い方はなんとなくわかっていた。
彼の攻撃方法は、”音”。
彼が右手に装着している機械のようなもので空気を揺らし、相手の三半規管や体内にダメージを与える…簡単に言えば、そんなところだ。
長期戦は厄介な相手だ。
だが、今彼はリエを弱いと決め付け侮っている。
それはリエにとって、最大の好機。
瞬間的に足の裏にチャクラを溜め、リエは地を蹴る。
ふっと、ドスの視界からリエが消えた。
「…風遁、烈風斬」
突然のことに驚愕するドスの耳に、ソプラノの声が届く。
刹那、ドスの腕に着いていた機械が音を立てて真っ二つに割れた。
頭の整理が付かず、ドスには壊れゆくそれがスローモーションで見えていた。
自分の身に何が起こったのか、ドスは理解出来ていなかった。
驚いたのは当人のドスだけでなく、観客席からもどよめきが起こる。
それ程までに、あまりに一瞬の出来事すぎたのだ。
がしゃん、という、機械が地に落ちた音で、ドスはようやくハッと我に返る。
困惑したドスが視線を下げれば、姿を消したリエの姿がそこにあった。
「降参、してくれませんか?私はあなた達のように、無闇に人を傷付けることはしたくありませんので」
冷たく言い放つ彼女の声には、確かに怒りが込められていた。