第24章 中忍試験〜本選〜
ゲンマの合図で、試合が始まった。
ナルトは影分身を上手く使いネジの白眼に対抗するが、どれだけの数で襲ってもネジには通用しなかった。
運命には抗えない、ネジはナルトにそんなことを言っている。
ヒナタとの予選でリエが彼に掛けた言葉は、残念ながらネジには届かなかったようだ。
点欠を突かれボロボロになりながらも立ち向かうナルトに、ネジが日向家の運命について語りだした。
それでもナルトは言う。
「お前みたいに運命だなんだ……そんな逃げ腰ヤローにゃぜってー負けねぇ!」
ヒナタの苦しみも、そしてネジ自身の苦しみも、ナルトにはわかっていたのだ。
そして感じた、あのチャクラ。
波の国や大蛇丸との闘いのときに感じた、あの禍々しく強いチャクラだ。
赤いチャクラがナルトを取り巻いている。
あのときよりも強くなっているその力に、リエの額にうっすら汗が滲んだ。
そして激しい攻防の末、ついにナルトが勝利を収めた。
「運命がどーとか…変われないとか。そんなつまんねーことめそめそ言ってんじゃねーよ!お前はオレと違って……落ちこぼれなんかじゃねーんだから」
この戦いできっとネジは変わるだろうと、いや、変われるだろうとリエは確信した。
それだけ、いい試合だった。
最初はナルトをバカにしていた観客達も、ナルトに賞賛の拍手と声をかけている。
((こんないい試合見逃すなんて、もったいないことしたね……))
未だ姿を見せないサスケを思い、リエは小さくため息をついた。