第23章 強くなるために
「ところでサスケ」
「なんだ?」
リエが声を掛けると、息を整えたサスケが駆け寄って来る。
サスケを目の前にすると、リエには彼がなんだかいつもより大人っぽく見えた。
そう思うのはいつもと服装が違うからか
それともこの短期間で大きく成長したからか。
「…あのね、正直言うと、私はサスケが病院でじっとしてるだろうとは思ってなかったけど…断りもなく抜け出したら皆心配するんだよ?
ここ来る前に偶然会ったサクラちゃんは、お見舞いに行ったら急にサスケがいなくなってたって肩落としてたし、看護婦さん達もサスケを探し回ったって言ってたし…せめて一言かけてからにしないと、皆に迷惑かけちゃうでしょ?修行から帰ったら、ちゃんと謝らないとね」
自分勝手な行動で皆に心配をかけたのだから、ここはちゃんと言っておくおくべきだろうと、リエはサスケにそう言い聞かせた。
しかしやはりサスケに会えて嬉しくないわけがない。
でも、と言葉を続け、リエは複雑そうな顔をしているサスケに微笑む。
「久しぶりにサスケに会えて、すごく嬉しいよ」
「リエ…」
サスケだって、ずっとリエに会いたかった。
修行に集中はしていたが、リエのことを思わない日はなかった。
病院で受け取ったリエからの手紙には、修行で余裕がない、と書かれていた。
きっと自分と同じく、中忍試験で他国の忍と相対して己の今の力を思い知り、そして自分の可能性を見出して、奮起しているのだろうとサスケは思った。
自分ももっと強くならなければならない、
そして、愛するリエの妨げになってはならない、
そんな自制心がなければ、どこかで修行をしているリエに会いたい一心で木ノ葉の里中を探し回っていたかもしれない。
彼女と会えない時間を過ごして、サスケは更に強く思った。
自分にはやはり、リエが必要なのだと。