第22章 封印されしもの
サスケが目を覚ますと、白い天井が一番に目に入った。
そのまま辺りを確認すると、窓辺に一輪のマーガレットが飾られているのが見えた。
自分が横たわる少し硬いベッドのシーツも真っ白で、部屋は少しだけ薬の匂いがする。
ここが病院だと理解するのに、さほど時間はかからなかった。
((そうか…カカシに呪印の封印を……))
呪印をつけられた左首に手を当ててみても、特に違和感は感じない。
カカシの術は上手くいったということだろうか。
体を起こしてみてもなんだか頭がすっきりしない。
かなり長い間寝ていたのかもしれない。
頭を小さく振り、ふと窓辺のマーガレットを見つめる。
リエが好きな花だ、とサスケは思った。
きっと彼女が生けてくれたのだろう。
リエの笑顔が脳裏に浮かんだ。
((試験はどうなった?リエは勝ったのか?……ナルトは?))
一度気になると、そればかり考えてしまう。
((誰か捕まえて結果を聞くか?……いや、病院の連中が知っているとも思えないな…))
サスケがモヤモヤした気持ちを抱えたちょうどそのとき、ガラリと音を立てて扉が開いた。
「あら、目が覚めたのね」
声を掛けてきた白い服を着たその女性は看護師だろう、身体を起こしたサスケを見て微笑んだ。
「調子はどう?念の為先生を呼んでくるわね。あ、そうこれ、あなたが起きたら渡してって頼まれてたの。ラブレターかしら?」
そう看護師が差し出してきたのは、小さな封筒。
見慣れた字で、”サスケへ”と書いてある。
「可愛い彼女ね。ずっとあなたのこと心配してたわよ。それじゃぁ待ってて、サスケくん」
閉まる扉を尻目に封筒を開くと、それはやはりリエからの手紙だった。