第22章 封印されしもの
少し丸みを帯びた可愛らしい字を目で追っていく。
”サスケ、おはよう。身体、大丈夫?
今私は、少しでも強くなる為に修行に励んでいます。余裕がなくて、こうして手紙を書くだけになってしまって……サスケの目が覚めたときに傍にいられなくてごめんなさい。
試験の結果が気になっていると思うので、知らせるね。
ナルトくん、シカマルくん、シノくん、ネジさん、砂の我愛羅さん、テマリさん、カンクロウさん、音忍のドスって人。サスケと私の、十人が本選出場です。
サスケの最初の試合の相手は、我愛羅さん。あのリーさんに勝った、凄腕の忍です。
サスケもこれから本選までの一カ月、修行に励むことと思うけれど…でも、身体がよくなってからにしてね。安静第一だよ。
次にサスケに会うときは、成長した私でありますように。離れていても、いつもあなたを想っています。 リエ”
((そうか…リエも勝ったか。そして今も、頑張っているんだな))
もちろん、この試験は人生の通過点にしか過ぎない。
しかし今までのリエの努力を知っているからこそ、目に見える結果となってそれが報われたことが、サスケは自分のことのように嬉しかった。
リエの笑顔がすぐに見れないのは寂しいけれど、いつものように真っ直ぐに目的に向かって突き進んでいく彼女を頼もしくも思う。
リエはどんどん強くなっている。
それでも、リエを守りたいという気持ちは変わらない。
((だからこそオレはもっと、誰よりも強くならないといけないんだ))
最終試験での自分の最初の相手は、我愛羅。
初めて会ったときから只者ではないと思っていたが、あのリーに勝ったというからには相当の使い手だろう。
だからと言ってこんなところで負けるわけにはいかない。
身体が震える。
これは、武者震いだ。
((悪いなリエ。安静第一ってのは聞けないぜ))
サスケは窓から病院を抜け出し、更なる力を得る為に走り出した。