第22章 封印されしもの
辺りに静けさが戻るとすぐに、リエは自分の微かな変化を実感した。
風の音が今までと違うように聞こえる。
まるで、何かを囁いているかのようだ。
【風の声だ。それが聞き取れるようにならんと、我の力どころか風使いとしての能力そのものも使えぬぞ】
キョロキョロと辺りを見渡すリエに、風牙がそう教えてくれた。
「風の声、ですか……そういえば、夢に出て来てくれたお父さんが言っていました。鍛錬を重ねて、知識を得て、風を細部まで感じる術を身に付ける。そうしてやっと、風の声を聞くことが可能になるんだって」
【テルヤもそれなりになるまでに苦労しておったからな。力の制御が上手くいかず自爆を繰り返すその姿は滑稽であったものだ】
「父でそれなら、私はもっと手こずりそうです。それに……」
身体に違和感を感じ、リエは自分のそれにそっと手を当ててみた。
温かい何かが身体中を巡っているような感覚。
今までになかったそれはきっと、空風の力なのだろう。
「……慣れるまでが大変そうです」