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青い果実【NARUTO】

第22章 封印されしもの



【汝はテルヤの娘だな】

地を這うような低い声でそう問うたのは、目の前の不思議な虎だ。

”特別に訓練された優秀な動物や仙人の類の高貴な動物が人間の言葉を理解し話すことが出来る”、と書物で読んだことがあるが、彼は確実に後者だとリエは直感した。

明らかに纏っているオーラが違うのだ。

その彼が、父の名を口にした。


敵ではない。


そう確信すると、リエは少し落ち着きを取り戻した。

「……はい。空風リエといいます」

リエは真っ直ぐに彼を見つめそう告げ、深々と頭を下げる。

何者かはわからないが、確実に力も位も自分より上であろう彼に敬意を払っての行動だ。


リエのその姿を見て、虎はその金の眼を細め口角を上げる。

心なしか、笑っているように見えた。

【ほぅ…我を目の前にして恐れをなさない度胸と、チャクラ量は大したものだな。そこは父親譲りのようだが、テルヤと違って礼儀作法もしっかりしておる】

「…父をご存知なのですか?」

リエがそう問うと、鼻を鳴らし虎は答えた。

【アレは風使いとして秀でていたのでな。才能と能力だけは、認めておった。
我を馴れ馴れしく”相棒”などとふざけた名で呼ぶのも気に食わなかったし、娘が出来た途端しまりのない阿保になったのにも心底呆れたし、娘の素質を知りながら力を封印する決断に至った奴の思考回路も理解に苦しんだものだがな】

褒めているのか貶しているのかよくわからなかったが、父とは親しい仲だったのだろう。

そして……

「私のことも、ご存知なのですね」

【無論だ。過去に嵐を引き起こした娘よ。
汝の力を封じたのは我だ】

穏やかだった風が強くなり、草木を揺らし始めた。


【我は白虎。風を司る神獣なり】


鋭い黄金の眼が、威光を放っていた。

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