第22章 封印されしもの
三代目が教えてくれた、空風一族の領地跡に初めて足を踏み入れた。
文字通り、リエが全て吹き飛ばしてしまったそこには、今では草花が綺麗に育ち、そよそよと風に揺れている。
今日、里の思い出の場所を巡ったのは、自分の決断を確かなものにする為。
そしてこの場所に来たのは、自分の失った全てがここにあるような気がするからだ。
先程病院に立ち寄ったとき、改めて思った。
リエが会いたかった彼らの病室には、相変わらず面会謝絶の札がかかっていたけれど
そこまで傷ついてもなお戦い抜いたのは
サスケもヒナタもリーも、皆信念を持っていたからだと。
彼らにも、大事なことを教えてもらった気がする。
((大丈夫…この先たとえ何があっても…自分の決断に、後悔はしない))
懐から、三代目に渡された巻物を取り出す。
悩んだ末、リエは力を取り戻すことを決めたのだ。
意を決し開いてみると、中央に大きく”封”と書かれていた。
側から見ると、何の変哲もないただの巻物だ。
でも、触れてみてわかる、そこから感じられる強い力。
((……でも、これをどうすればいいのかな?))
テンテンが使っていたような口寄せの巻物にも似ているようだが、かといってそんなことをやったことがないリエには試しようもない。
((これは私のもともとの力。私にしか、解くことが出来ないはず…))
中央の文字に手を当て、チャクラを流す。
「風よ…私の思いに応えて…」
”リエは風に愛された子だ”という父の言葉を信じて、そう風に祈った。