第22章 封印されしもの
早朝トレーニングの道のりを歩きアカデミーを訪れ、その後うちは領地跡にやって来た。
イタチが里を抜けた日以来、サスケの目を盗んでこっそり見に来ていた場所。
それこそ、昔はイタチが帰ってくるのではないかと淡い希望を抱いていた。
((イタチも、好き好んであんなことしたわけじゃないはず。きっと大切なものを守る為に…そうしたんだよね…?))
あのときのイタチは今でも覚えている。
プレゼントのネックレスを受け取ってくれたときの、あの切なそうな表情を。
彼の意図は全くわからない。
それでも、リエはイタチの優しさを知っている。
あれが全て嘘だなんて思えない。
「忍はいかなるときも非情でなければならない…か」
忍の心得を口に出し、ため息をひとつ吐く。
((イタチは、立派な忍だもんね…))
例えば任務であったり、誰かを守る為に彼がそうしたのであれば、自分には彼を責めることなど出来ない。
彼の優しさを、信じている。
サスケは、認めたくないのだろうけど。
そっと先程いの宅の花屋で購入したガーベラを風に流す。
家族のように温かく接してくれた、うちは一族の皆に愛と感謝を込めて。