第22章 封印されしもの
「”立派な忍者になる”こと。お父さんが里の皆を守っていたみたいに、私もお父さんを守りたかったから…」
「うん、リエの気持ち本当に嬉しかった。今ではもうそれは叶わない夢になってしまったけれど、リエは今も忍者をやめることなく頑張っている。さっきリエは言ったね、守りたい人がいるって。リエの好きな人かい?」
頬を染めて頷く娘を見て、妬けるなぁと父は苦笑する。
「リエがそう思っているように、リエの大切な人もそう思っているはずだよ。リエを守りたいって。忍は何かを守る為動いている。それは里であったり、大事な人であったり、自分であったり、信念であったり、人それぞれだけど。皆、大事なものがあるんだ。それがあるから、その大切なものの為に、任務では非情になれる。命を懸けて戦える。
リエは一人じゃない。落ち込んだり、悲しかったりしても、リエには傍で寄り添ってくれる仲間がいるだろう?
失敗しても、責められても、弱っていても、大切な人が支えてくれるから頑張れるんだ。父さんも、リエの笑顔にたくさん救われたよ」
目の前で微笑む父親は、リエが大好きな優しい目をしていた。