第22章 封印されしもの
「自分の力が恐いか?」
父の言葉に、身体が強張った。
「……やはり、封印を解くかどうか迷っているんだね」
父さんが夢に出てこれたわけだな、と父は苦笑する。
”父の言葉を本当に必要としたとき”に母がかけた術は発動するという話だった。
自分自身のことだから誰にも頼れなくて、いつも支えてくれているサスケにも会えなくて、
きっと無意識に父を求めたのだろうとリエは思う。
今自分が抱えている気持ちをぶつけたら、父はどう言葉を返してくれるのだろうか。
この迷いが、少しでも解消されるだろうか。
「…とても、大切な人がいるの。強くなりたい。強くなって、その人を守りたい。ずっとそう思っていたんだ。だから、強くなれる可能性があるなら、それはとても嬉しいことのはず…なのに…
…恐いの。また、誰かを傷つけてしまうんじゃないかって。その力で、人の命を奪ってしまうんじゃないかって……」
「……リエ……」
テルヤは影を落とす娘の頭を撫でようとしたその手を、一瞬ためらい、そしてゆっくりと戻した。
「…力というのは気の持ちようで強くも弱くもなる。今のリエじゃぁ封印を解いたとしても、逆に力に飲まれて暴走してしまうだろうね。今度は、もしかしたらリエ自身も巻き込まれてしまうかもしれない。自然を統べるということは容易なことではないんだ」
テルヤは娘の将来を案じて非情に徹し、諭すことにしたのだ。