第22章 封印されしもの
気がつけば何もない、真っ白な空間にいた。
あのときと似たような感覚。
ーーーあぁ、きっとこれも夢だ。
今度はいったい何の夢なのだろう?
なんの罪もなかった同じ一族の人達が、自分を責めに来る夢でも見るのだろうか…
そんなことを考えたとき、急に目の前に靄が集まった。
人型になった靄が散り、その中から姿を現したのは…
青い果実 22
「……リエ!」
「お……お父さん?」
自分が幼い頃に亡くなった、父親だった。
「リエ、大きくなったな。いやぁ、想像以上に可愛く成長したなぁ。昔から可愛かったけど。成長を見届けられなくて本当に残念だった…。
ハッ……悪い虫はついていないか?!昔からそうなんだ、俺が見ていないとすぐに皆が寄って来て俺の可愛い娘にちょっかいを……!」
「お、落ち着いてお父さん」
登場早々親馬鹿を発揮するテルヤに、リエは事態が掴めなくて少々困惑気味だ。
「あ、あぁすまない。リエに会えてあまりに嬉しくてね」
にこにこと笑う父親は、あの日、最後に見た姿と何も変わっていなかった。
前に見た夢とは違い、こうして会話が成り立っているということは過去の夢でもないようだ。
しかし誰にも相談出来ず悩んでいるときに、一番頼りにしていた父と会えるなんて…
…いくら夢でも、都合が良すぎる。
「もしかして私、幻術にかかってたりとか…?」
「違う違う、ここは間違いなくリエの夢の中だよ!お父さんも自分の意思でこうして喋ってるからね!」
訝しげに呟いたリエの言葉を、テルヤは慌てて否定した。
「今リエは、父さんの精神と話しているんだ。簡単に言ってしまえば霊魂だね。幽霊とはちょっと違うよ」
「………。お父さんごめん、言ってることよくわからない…」
困惑するリエを見て、テルヤは豪快に笑った。