第21章 隠された事実
「……空風の人達は…どうなったのですか」
「……それは……わからぬのじゃ。わしらが駆け付けたときには誰もおらんかった……生存者も、亡骸も、何も……」
三代目はそう口を濁して、小さく首を振った。
昔の写真もなくて、昔家族で住んでいた家もわからなくて
昔からの知り合いと言えば新しく引っ越しをしてから知り合った人達だけ。
ようやく、その理由がわかった。
ーーー私が、全部吹き飛ばしてしまったんだ。
風の轟音の中で聞こえた、たくさんの悲鳴が頭の中を支配する。
覚悟はしていたのに、重たい何かがのしかかるように胸が苦しくなった。
「あのときのおぬしはまだ二歳…この記憶と力を持ったまま生きるにはまだ幼すぎるからと、テルヤがそれらを封印した。その強大な力の暴走を防ぐ為に。おぬし自身の心を、守る為に。
テルヤも…辛かったじゃろうて。大事な娘から、母親の存在まで奪ってしまったんじゃからの…」
いつも笑顔で接してくれていた父親。
その笑顔の裏に、どのくらいの苦悩を抱えていたのだろう。
「おぬしが昔忍術が使えなかったのは、力の源を封印されチャクラが練れなかったからじゃ。カカシの報告では、波の国でチャクラが練れるようになったらしいの。それはきっと、目の前でカカシの影分身が殺されたことによって記憶の封印が少し外れ、同時に力の封印も解けかけたからじゃろうな…
先日の二次試験のときにもその力が解放されたのじゃろう?おぬしの力が、テルヤの施した封印術を撃ち破ろうとしておるのかもしれん…」
三代目はそう言うと、棚を探り始め
奥の奥にしまってあったあるものを取り出しリエに差し出した。
「リエ、この巻物を託す」
「…これは、なんですか?」
「テルヤからの預り物じゃ。リエが真実を知るときが来たら渡してくれと頼まれておった。
おぬしの封印を解く術式が書かれているそうじゃ。つまり、どういうことかはわかるな?」
「………はい」
「それを開くも、燃やすも、おぬし次第じゃ」
火影から受け取った巻物は至って普通の巻物と変わらない大きさだった。
けれど
手に持った瞬間、とても重く、感じられた。