第21章 隠された事実
耳に鳴り響く轟音の中で
男のものでない悲鳴が聞こえた。
ひとつやふたつではない。
風の音の隙間から、人や動物の声、物を破壊するような音までする。
真っ暗な闇に覆われ何も見えなくなった今、いったい何が起こっているのかリエにはわからなかった。
……いや、本当はわかっていたのかもしれない。
ただ、受け入れられなかっただけだ。
「…リエ!!」
名前を呼ぶ声がした。
闇の中で浮き上がるその人影は、リエのよく知っている人物だ。
((お父さん…))
リエの父テルヤは立ち尽くすリエをすり抜けると、襲い来る風を受け流しながら幼い少女を探し当て、その小さな身体をキツく抱きしめた。
「ごめんな…守ってやれなくて…」
初めて聞く、父親の涙声。
その言葉は、亡き妻へかけたものなのか
幼い娘にかけたものなのか
それとも、何の罪もない人々へかけたものなのだろうか。
風が弱まり、闇が薄れ
空間が足元から崩れていく。
落ちるように
リエの意識も遠のいていったーーー