第21章 隠された事実
幼い少女は瞬きを忘れたかのように一点に、赤く染まる母親を見つめている。
膝をつき母親の手をとると
彼女の”死”を悟ったのか、その瞳からは大粒の涙が溢れた。
風がざわめく。
「恨むなら…馬鹿な母親を恨むんだな」
そう言って面の男が放ったクナイは、少女に当たる前に何かに弾かれる。
あれは…風の渦だ。
刹那、嵐のように風が吹き荒れた。
リエや、手練れであろう男でさえ立っているのがやっとの程の強風の中、幼い少女はゆらりと立ち上がる。
虚ろな瞳に色がついた。
その輝きは、黄金。
「な…なんだ…?」
少女の変貌に、男はたじろいだ。
幾多もの竜巻があたりを取り囲む。
面の男も流石に焦ったのか、少女を止めようと凡ゆる忍術や飛び道具を使って攻撃を仕掛けるも、それは全て吹き荒れる突風の前では無意味だった。
撤退しようと後ずさる男の足を、風の刃が襲う。
男の悲鳴は、風に消された。
「…お前なんか……」
溢れる涙を風に流し、少女は叫んだ。
「きえてなくなれ!!」
少女の言葉に触発されたように、竜巻が襲いかかる。
黒い雲が空を覆い、辺りは闇に包まれた。