第20章 思いの強さ
解散を告げられてすぐに、リエは木ノ葉病院へ向かった。
まだ中忍試験は終わっていないというのに、この短期間のうちにあまりにも色んなことが起こりすぎた。
夢を断たれたリー。
命の危機に晒されたヒナタ。
大蛇丸に目を付けられたサスケ。
((……誰も失いたくない。もう、二度と))
青い果実 20
嫌な考えを振り払う為駆け足で病院へ来たものの、サスケもヒナタもリーも、面会謝絶だと言われてしまった。
リーやヒナタの容体は相当酷いようだが、一命はとりとめたとのことで、少しだけ安心した。
せめて顔だけでも見ておきたかったが、彼らを救う手立てもないリエが特別待遇で彼らに会うことなど出来るはずもない。
会えないとはわかっていたが、リエの足はサスケの病室に向かっていた。
もちろん規則を破って入ろうなどとは思っていない。
ただ、そこにいるサスケを感じたかったのだ。
「…サスケ…」
”面会謝絶”の札がかけてある扉に手を当てる。
カカシは大丈夫だと言っていたが、会えない程に疲労しているのだろうか。
「私、勝ったよ。でもね、サスケの試合の後、色んなことあって…私は何も出来なくて……少し自分が、嫌になっちゃった…」
コツンと額を扉につけて、小さくそう呟いた。
サスケに話を聞いてもらいたいけれど、弱音を吐いているところを見せたくない。
複雑な気持ちだ。
「………。また、来るね」
そう声をかけ、リエはその場を後にした。