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青い果実【NARUTO】

第19章 中忍試験〜三次試験〜



「すみませんカブトさん。大丈夫ですか?」

未だに蹲るカブトにリエがそう声をかけると、カブトはゆっくりと立ち上がった。

左手で鳩尾を押さえたまま右手で眼鏡を直し、自嘲気味に笑う。

「はは…リエちゃんは忍術が得意でない、というのはどうやらデマだったようだね。性質変化まで出来るなんて、僕の情報収集も当てにならないな」

カブトの言葉に、リエも苦笑を返した。


情報などあるわけもない。

風遁の基本術とは言え、リエが性質変化を成功させたことは今回が初めてなのだから。



先程サクラから、死の森での自分の様子を聞いたときに思った。

波の国に行ったときと似ていると。


あのときも、一部の記憶が抜け落ちたようになかった。

そしてその後から、今まで何をしても出来なかった忍術が突然使えるようになった。

上手くいって出来損ないすぎる分身がつくれる程度だったのに、だ。

カカシとの木登り修行にしたって、チャクラコントロールは 特別苦労もせず出来た。


カカシとの会話で、今まで術が使えなかったのは、余計な力が入って集中出来ていなかったからだという結論になった。

そのときはそれで納得したが、はたして本当にそれだけが問題だったのだろうか?

サスケはコントロールがしっかりしていない幼い頃から火遁が使えている。

才能の差と言ってしまえばそれまでだが、どこか腑に落ちない。


先程、サクラが言った”風を操っているみたいだった”と言う言葉。

思い出せない自分の行動。

もしかしたら今回も、あのときみたいに突然の変化があるのではないか?

そう思ってチャクラを練ってみたら…

というわけだ。



行き当たりバッタリの策と言われてしまえばそれまでだが、なぜか風遁を使える自信もあった。

自分でも、不思議な感覚だ。

風が味方をしてくれているような、そんな気がした。



「あの…どうもありがとうございました」

対戦相手への礼の為リエが小さく頭を下げると、カブトは人差し指で眼鏡を上げた。

「…ひとつだけ忠告をしておくよ。この世界では、非情にならなくちゃ生き残れない。君のように優しい人間は、気をつけた方がいいよ」

そう言うと、カブトは笑顔のまま会場を後にした。
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