第19章 中忍試験〜三次試験〜
砂がリーの手足を砕いた。
もう、彼は戦えない。
立ち上がることさえ、ままならないだろう。
しかし我愛羅は攻撃をやめようとはしなかった。
再度、砂がリーにトドメをさしに襲い来る。
だが、それを一瞬で移動したガイが弾き飛ばした。
「…なぜ、助ける」
「こいつは…愛すべき俺の大切な部下だからだ」
自分の問いに迷いもなく答えるガイに我愛羅は眉間に皺を寄せ
「……やめだ」
と呟くと立ち上がり、彼は砂を瓢箪に戻しガイとリーに背を向けた。
そこへ、動けないはずのリーが小刻みに震えながらも立ち上がり、構えをとる。
しかしーーー
彼は既に気を失っていた。
リーは意識を失くしてもなお証明したかったのだろう。
自分の忍道を。
ガイの目から止め処なく涙が溢れ頬を濡らし、そして彼はリーの身体を優しく包みこむように抱きしめた。
ガイと、ためらいなくリーの元へと駆け寄っていったナルトが、リーを診る医療班の言葉に食って掛かっている。
「リーはもう忍としてはやっていけない」
……そう、告げたようだった。
術が使えず落ち込んでいたリエに、リーはそれだけが全てではないと教えてくれた。
『僕は、体術だけでも立派な忍者になれることを証明したいんです』
それが自分の忍道であり最大の夢だと語ってくれた、リー。
努力を惜しまず、真っ直ぐに自分の夢を追いかけ続けてきたというのに、
その彼の夢がこんなところで途絶えてしまうなんて。
ナルトのように、リーの元へ駆け寄りたかったのに、足が動かなかった。
((私は何も出来ない…声をかけることさえも…))
やりきれない気持ちが、リエの胸中に渦巻いた。