第19章 中忍試験〜三次試験〜
ネジの眼力にも負けず、リエは彼を真っ直ぐ見つめて言葉をぶつける。
「私は日向家のこと、詳しくは知りません。でも、ヒナタのことなら知ってる。
ネジさんが苦しんでいるように、ヒナタだって悩んで苦しんでいるんです。それでもヒナタは、自分の人生を諦めないで、ずっと必死だった。一生懸命自分を変えようと、頑張っていたんです!
…それを否定して……ヒナタに八つ当たりしないでください…」
ぽろぽろと零れる涙を拭う彼女を見て、ネジは居心地が悪くなった。
彼女の涙は、綺麗すぎるのだ。
無言のままに、ネジはその場から去ろうとした。
「おい!」
しかしナルトに呼ばれ、ネジは足を止め彼の方へ振り向く。
ナルトは床に残るヒナタの血を見て、ギュッと握り締めた拳をネジに向かって突きつけた。
「ぜってぇー、勝つ!!」
それはまるで、ヒナタに約束するように。
「……ふん」
再びナルトに背を向け、ネジはその場から去っていった。
カカシに肩を抱かれ、リエはナルトと共に上の階へ戻る。
その表情は、暗い影を落としたままだ。
カカシは項垂れるリエの頭をポンポンと優しく撫で声をかけた。
「きっと大丈夫さ。彼女の生命力と強さを信じて、リエも前に進もう、な?」
「………はい」
涙を拭い一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、
リエは他の受験者と同じく、次の試合の対戦が掲示板に表示されるのを待った。
ピクリと身体を揺らし、何かに反応した我愛羅は瞬身の術で下の階へ一瞬で移動する。
直後掲示板に表示された名は
『我愛羅VSロック・リー』