第19章 中忍試験〜三次試験〜
ネジの言うとおり、二人の力の差は歴然だった。
どう見てもヒナタに勝機はないと、誰もが思うほどに。
しかし何度倒れても、ヒナタは立ち上がり続けた。
「…っ!頑張れ!頑張れヒナタ!!」
必死に戦う彼女に向け、リエは声が枯れるくらいの大声でナルトと並んで声援を送る。
家のことで苦しんでいるのはヒナタも同じだ。
宗家の長女であるが故に期待され、落胆され、比較されて、辛い言葉も浴びてきた。
…どんなに辛かったことだろう。
それでも自分の言葉を曲げない、ナルトと同じ忍道を貫き通そうとしている。
彼女もまた、強くなったのだ。
心臓への攻撃を受けても尚、気力のみで立ち上がるヒナタに、ネジは言った。
「あなたは日向宗家という宿命を背負い、力の無い自分を責め続けた。けれど人は変わることはできない…それが運命だ。
もう苦しむ必要はない、楽になれ!」
そう忠告するとヒナタは反論する。
「それはちがうわネジ兄さん…宗家と分家という運命の中で迷い苦しんでるのは、あなたの方…」
その言葉にネジの目つきが変わる。
ヒナタに最後の一撃を喰らわせようと駆け出した。
しかしネジの殺気に感づいた試験官のハヤテ、上忍師のカカシ、ガイ、紅が一瞬でネジの身体を取り押さえる。
と同時に、ボロボロになったヒナタが地に倒れた。
「「ヒナタっ!!」」
リエとナルトが慌てて彼女の元へ駆け寄り、リエが抱き起こすと、ヒナタは目線だけゆっくりと二人に向けた。
「リエちゃん…ナルト…くん……わたし…少しは…変われ、たの…かな……」
上手く呼吸が出来ないのか、途切れ途切れに弱々しく言葉を紡ぐヒナタ。
そんな痛々しい親友の姿を見て、リエ目から涙が零れる。
「落ちこぼれは落ちこぼれ、何も変わりなどしない」
と言うネジの言葉と、ヒナタをこんなに傷付けたネジに怒りが湧いたのだろう、ナルトがネジに喧嘩を売り始めたが、それをリーが止めに入る。
そんな喧騒の中、グフッと突然ヒナタが血を吐き、周りに飛び散った。