第19章 中忍試験〜三次試験〜
第五戦、『テンテンVSテマリ』
勝負はテマリの大きな扇子が引き起こす風の刃によって彼女が勝利を収めた。
無数もの様々な忍具を扱うのが得意なテンテンでも、風を扱うテマリには敵わなかった。
第六戦、『奈良シカマルVSキン・ツチ』
シカマルは自慢の影真似の術を使った頭脳戦で見事にキンを倒し、勝利を収めた。
普段は面倒くさがってはいるが、もしかしたらシカマルはかなりの切れ者なのではないだろうか、とリエは思う。
ふと、シカマルが上を見上げたとき、リエと目が合った。
リエが満面の笑みで「シカマルくん、おめでとう!」と叫ぶと、シカマルは口角を上げ「…サンキュ」と呟いて頭を掻いた。
第七戦、『うずまきナルトVS犬塚キバ』
待ち焦がれていたナルトは、やっと自分の番が回ってきたことに喜んでいる。
キバの方は、ナルトが相手だと知って己の勝利を確信し喜んでいた。
ナルトの成長を知らないと、まぁ当然の反応だろう。
しかし今のナルトは違う。
波の国からの彼の成長は普通じゃない。
そして先ほど、サスケが言った言葉。
『オレは、お前とも戦いたい』
あれもナルトの闘志に繋がっているのだろう。
ナルトは下の階へ降り、キバと互いに睨み合った。
試合が始まり、キバはいきなりナルトの腹に力強く拳を喰らわせた。
キバの速さは普通の忍以上だ。
キバの拳をもろに喰らって吹っ飛ばされたナルトは床に倒れ伏してしまった。
キバは試験管のハヤテに、もうナルトは立ち上がらないと宣言するが、ナルトはゆっくりと立ち上がった。
口の端から鮮明な赤い血を流しながら、ナルトはキバに言う。
「オレをなめんなよ!!」
「いっけぇー!ナルトォー!!」
目を覚ましたサクラの声援が会場に響いた。
今までナルトを馬鹿にしていた者達は、この試合で彼の成長振りを見て彼を認めている。
そしてナルトは新技…という名のサスケのパクリ技でキバを倒し、勝利を収めた。
皆強くなっている。
皆変わっていく。
置いていかれるのは、嫌だ。
そんな思いがリエの胸中を支配していた。