第19章 中忍試験〜三次試験〜
第四戦、『春野サクラVS山中いの』
とうとうサクラと いのの因縁対決が幕を開ける。
「サクラちゃん」
ナルトが頑張れ負けるなと騒いでいる中、リエは親指をグッと立て、エールを送った。
サクラは下へ降りる前に、リエに背を向けたまま言う。
「リエ…私の戦い、見ていてね」
試験を受ける前、不安でいっぱいだった自分を励ましてくれた。
敵に襲われて自分がどうにも出来なかったとき、命を張って助けてくれた。
同じくノ一として、仲間として、友達として。
自分よりも前を歩き成長していく彼女に、自分の成長も見てもらいたい。
そんな思いで。
「…うん!」
真剣な表情を浮かべるサクラはリエの肯定の言葉を聞くと一度も振り返ることなく、下の階へ降りていった。
その姿から、彼女がいかに本気なのかが伺えた。
いのと睨み合うサクラを、リエも真剣に見つめる。
二人の戦いは、お互いに負けたくないという感情が伝わってくる白熱した試合だった。
力を使い果たした二人の最後の一発、
サクラと いのは思い切り互いの頬を力強く殴りあい…
そして両者ダウンによりこの試合は引き分けで幕を閉じた。
「…先生」
意識のないサクラを連れてきたカカシに、リエはそっと言う。
「私達をこの試験に出してくださって…ありがとうございます。色々大変なことも多かったけれど…この試験のおかげで私達、強くなれた」
そう言って、リエはサクラの頭を優しく撫でる。
彼女も最高のライバルと本気で戦えて、それを仲間に見てもらえて、心なしか表情も満足そうだ。
「おつかれさま。サクラちゃん、いのちゃん」
瞳を閉じて穏やかな表情を浮かべるサクラといのに、リエは優しく微笑んだ。