第19章 中忍試験〜三次試験〜
「リエ?大丈夫?」
急に黙ってしまったリエを心配して声を掛けてくれたサクラに「ごめんね…大丈夫」と返した頃には、
サスケがザクの腕を折って使い物に出来なくしたとは言え、リエ達があんなに苦戦した相手に、シノはあっさりと勝利していた。
第三戦、『ツルギ・ミスミVSカンクロウ』
ちょうど試合が始まると同時に、カカシだけがリエ達の元へ戻って来た。
カカシはリエとサクラを安心させるように「サスケは大丈夫だ」と言って笑う。
そして、本人に気付かれないように安心した表情で試合に目を向けるリエを見つめた。
実は先程サスケの呪印を術で封じたカカシの前に、大蛇丸本人が現れた。
そして彼は、サスケが欲しいと言ってきたのだ。
そしてサスケだけではなく、あろうことかリエまでも欲している。
『あの子は清すぎて、この呪印はあげられない。死ぬのは目に見えてるからねぇ。まだ青い果実、熟れる前に摘むのは勿体無いでしょ…。
本来の力を取り戻して美味しく熟れるか、力に呑まれて腐って落ちるかはあの子次第だけど…上手く実れば最高の果実になるでしょうね。サスケくんとはまた違った…ね』
ニタリと笑う大蛇丸の歪んだ表情を思い出し、厄介な、とカカシは眉間に皺を寄せる。
その場は大蛇丸が何もせず引いたが、その存在だけで力の差を思い知らされた。
自分に大切な部下を守れるか……
カカシの胸中には、そんな不安が渦巻いていた。
「先生?どうしたんですか?」
しかしそんなことをリエに悟られるわけにもいかない。
キョトンとした顔を浮かべ自分の顔を覗いてくる、悪意の欠片もないリエを大蛇丸に渡してなるものか。
カカシは自分にそう言い聞かせ「なんでもないよ」と笑って彼女の頭を優しく撫でた。
この試合はカンクロウが勝利した。