第18章 中忍試験二次試験〜死闘〜
「…おい!大丈夫かよ、お前ら!」
戦いの幕が下りたところで、一番に姿を現したのはシカマルだった。
それを追うように、いのとチョウジも続く。
そして木の上で傍観していたテンテンも降りてきた。
その頃になって、ようやく彼らに安堵のため息が洩れる。
サスケは己の手を、否、その先にある不確かな力を愕然とした目で見つめていた。
「…オレは、一体……」
リエは彼を気遣うように、黙ったまま傍らで眼差しを向けていた。
そこへ。
「ぎゃぁぁぁぁ!!…はっ!」
いきなり悲鳴が轟いた。
ナルトがようやく目を覚ましたのだ。
シカマルとチョウジが起こしたようだ。
まだ寝ぼけているのだろう、辺りを見回すと今度はその場に突っ伏し喚いた。
「みんな隠れろー!いや、すぐ伏せろー!!あ…あいつはどこだってばよ!?」
彼の中の状況は意識を無くした時点で針を止めているようだった。
今やどこにもいない大蛇丸の存在に、必死になって警鐘を鳴らしている。
だが無論、大蛇丸は今はいないし、彼の配下であろう敵も退いた。
ナルトの背後に立っていたシカマルは呆れたように反目する。
「凄い天然だな、お前は…。つーか、見ててむかついてくるな」
そんなシカマルの言に、チョウジも賛同した。
しかし合致がいかないナルトは心外そうに眉を顰める。
二人の反応にある程度冷静さを取り戻したナルトは、再度周囲を見回した。
確かに誰も戦ってはいない。
よくよく考えたら、なぜシカマル達がここにいるのかと疑問に思う。
前に出会ったリーの姿にも気付いたし、リエはサスケの影に隠れてよく見えなかったがボロボロになっているようにも伺える。
気になることは多々あったが、何よりも目についたのはサクラの髪だった。
「サ…サクラちゃん、その髪!?」
ナルトは慌てて詰め寄った。
「あぁ……こんな森だと長いのは邪魔なのよ。イメチェンよ、イメチェン!!」
眉を下げ、それでも笑ってそう答えるサクラ。
サクラのそんな強がりが、リエも見ていて痛かった。
女の子が自分の意志と反して髪を失う辛さは、痛いほどわかるから。