第18章 中忍試験二次試験〜死闘〜
力の入らない足が震えて、真っ直ぐ進めない。
踏み込みも甘く、何度も転びそうになる。
それでも、どんなに格好悪くても
リエにはサスケの背中しか、見えていなかった。
「サスケ!!」
暴虐を留めるように、リエはサスケの背から彼を包み込む。
「サスケ…もう、やめて…」
振り向いたサスケの瞳には間違いなく狂気が宿っていた。
初めて表に見る、彼の闇の部分。
一筋の涙がリエの頬を伝う。
「お願い…これ以上は…もう……」
「…っ…リエ…?」
リエの涙を見て正気を取り戻したのか、サスケの写輪眼が閉眼された。
同調したように、体に広がっていた紋様も徐々に息を潜めていく。
その様子にリエは安堵の表情を浮かべる。
しかしそれはまたすぐに狼狽へと変わった。
「…くぅっ!」
「サスケ!?」
呪印状態はやはりサスケの生命力を蝕んでいたのだ。
解けた瞬間、強い倦怠感と疲労に襲われたサスケはぐらりと膝を折った。
リエは慌てて彼の体を受け止めるも、足の踏ん張りが利かず尻餅をついてしまった。
そんな彼らを端で見ていたドスの表情は、ここから伺えなかったものの、抑揚のない声でサスケに語りかけてきた。
「……キミは強い」
だがその声に戦意はなかった。
彼もまた、この戦いに終止符を望んでいたのだろう。
手打ち料と称して彼の持つ巻物、地の書を差し出す。
「今のキミにボク達では到底倒せない。……ここは退かせてください」
そう告げると仲間を抱え、ドスはその場から姿を消した。
この長い戦いは、ようやく終わったのだ。