第18章 中忍試験二次試験〜死闘〜
リエの意識は既に戦いから離れていた。
どう考えても今のサスケは異常だ。
あれほどまでに消耗しきっていたのに、湧き出るチャクラは驚愕するほどの大きさ。
身体に収めきれないそれは、目に見えるほどに溢れていた。
いつもの彼とは違う、禍々しいチャクラが。
「サスケ…その身体は……」
おずおずと零した彼女の言葉に、サスケは我が身を顧みる。
「心配ない…それどころか力がどんどん溢れてくる」
そう言うとサスケは、僅かに口角を上げた。
「…あいつがくれたんだ……オレは復讐者だ。たとえ悪魔に身を委ね様とも、力を持たねばならない道にいる」
その言葉にリエは体を震わせる。
頭に、大蛇丸のあの歪んだ笑みが浮かんだ。
サスケは視線をリエに戻すと、未だ立てずにいる彼女に合わせて膝を折り、
リエの腫れた頬を愛おしげに撫でた後、額に触れるだけのキスを落とした。
「お前をそんな目に合わせた奴を血祭りにあげてやる。少しだけ、待っていろ」
サスケはリエを背にして、音忍たちを一瞥する。
湧き上がる殺気は凄まじいチャクラを練り上げて、周囲に上昇気流を巻き起こした。
「…よくもオレのリエを傷つけてくれたな」
事態を理解したシカマルは、いのの体を抱えると木陰に身を隠した。
彼の指示の元、いのも早々に術を解く。
いつの間にか意識を取り戻していたチョウジもそれに続いた。
サスケの力の片鱗は、それほど絶大だったのだ。