第18章 中忍試験二次試験〜死闘〜
恥辱に怯え震えるリエの表情は、ザクにとって満足のいくものだった。
「…いいね、その顔。ぶっ壊してやるよ、お前の全てをな!」
「汚い手でリエに触らないでっ!!」
今にも穢されてしまいそうなリエを庇うように、サクラが叫ぶ。
((ずっと、ずっと…リエは私を守ってくれた…))
不安なときには励ましてくれた。
命を懸けて戦ってくれた。
((今度は……私が、リエを守る!))
目に涙を溜めたサクラの手に握られた一本のクナイは、決意の証。
しかしそれを見たくノ一は鼻先で嘲笑った。
「無駄よ!私にそんなものは効かない」
「……何を言ってるの?」
不敵な笑みを貼り付けたサクラ。
そして。
「!!…何っ!?」
次の瞬間、サクラは己の髪をざっくりと切り落としたのだ。
予期せぬサクラの行動に、くノ一は呆然と自失した。
「…!キン!殺れ!!」
ザクが叫ぶ。
てんで役には立たないだろうと想定していた者が、戦いに乗り出してきたからだ。
決意の固い者は予想を上回る。
彼の中の警鐘が、そう告げた。
サクラは持ち前の秀でた幻術や変わり身を駆使して、キンというくノ一とザクを追い立てた。
苛烈極めた攻防だった。
しかし相手は確実にサクラの上をいく。
ものの数分後には彼女の力は及ばず、その身は血にぬれた。
それでもサクラは必死に食い下がる。
「このガキぃ!!!」
苛立つ怒号と共に、ザクはまた真空の裂刃を向ける。
もう、ダメだ。
そう思ったそのとき。
意外な助っ人が、サクラと音忍の間に割り込んだ。
「…いの……どうして…?」
現れたのは第十班の、シカマル・いの・チョウジの三人だった。