第18章 中忍試験二次試験〜死闘〜
霞む目を擦り、サクラは目覚めた。
「ごめんリエ…私寝ちゃって…」
立ち上がり、リエの背中に近づこうとしたのだが
「サクラちゃん、出てきちゃダメ!」
訳もわからずサクラはその声に思わず足を止め立ちすくむ。
「ど、どうしたの?」
「…ククッ…その身を犠牲に仲間を守りたいんだ?」
現れた刺客は三人。
額当ては“音”。
一次試験の前にカブトに絡んできた受験者だった。
彼らが大蛇丸の言っていた“音忍三人衆”だろう。
青い果実 18
声の主を真っ向から睨みつけ、リエはクナイを強く握った。
背負うのは自分の命だけではない。
友人と恋人の……大切な仲間の命なのだ。
「でもキミじゃないんだ。サスケくんを起こしてくれよ。そこにいるんだろう?ボク達、戦いたいんだ」
男の口角が、ニィっと半月に割れた。
リエは恐怖を腹の底に無理矢理押し込め、強い口調で言う。
「あなた達、大蛇丸の手下でしょう?あの人がサスケの首につけた痣は一体何なの?!」
リエのその言葉に、彼らは怯んだ様子で明らかな動揺を浮かべている。
どうやら事前に知らされていなかった情報のようだ。
しかし、その雰囲気も胸に死の文字を抱く横柄な男が払拭した。
…いや、開き直ったと言うべきか。
「全員殺っちまおうぜ」
「待て、ザク」
どうやら、横柄な態度の男はザクというようだ。
リエは彼らのやり取りを注意深く観察した。
見ている限り、ザクは短気な直情型だろう。
考えるのはあまり得意でなさそうだ。
しかし彼を制止した包帯の男は、割と冷静で頭も回るようだ。
現に今、サクラの施したトラップが見破られた。
もう一人のくノ一には目立った行動や発言がない為、どんな人物なのかはわからない。
カブトの件から見ても、彼らは平気で人を傷つける残忍さを持っている。
ただでさえ不利な状況だが、弱音なんてはいていられる場合ではない。
リエは気合を入れなおす為、深く息を吐いた。
緊張のせいか、クナイを握る手に汗が滲んだ。