第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
丸一晩、リエは眠らずに彼らの看病を続けた。
看病と言っても、ただ見ていることしか出来ない自分に非力さを感じる。
隣には堪えきれずに眠ってしまったサクラが、寝息を立て丸くなっている。
ナルトは深い眠りについてはいるものの、特に異常はなさそうだ。
サスケも高熱は引かないものの、呼吸は昨晩よりは落ち着いた。
未だ苦しそうなサスケの額にそっとキスを落とし、リエは彼の手を祈るように優しく包み込む。
((お父さん、どうか私達を守って……))
いつの間にか朝日が昇りだし、空は白けて来ていた。
「……!?」
カサリと草の根をわける音に、うつらうつらしていたリエの目が一瞬で覚めた。
飛び上がり、ホルスターからクナイを取り出し音の先を睨みつける。
しかし現れたものは、小さなリスだった。
首を傾げた様子を伺った後、リスはリエに向かって歩き出す。
「あっ!ダメ!!」
慌ててリエはクナイを放った。
そこら一帯は、昨夜サクラがいくつかトラップを仕掛けた場所だったのだ。
起動させたらリスも只ではすまない。
クナイに驚いたリスは、怯えたようにその場から走り去った。
「……怖い思いさせてごめんね」
リエは敵ではなかった安堵と、自分の所業に自責の念に駆られながらも、ただ見送ることしか出来なった。
軽くため息を吐いて、眠る仲間達の元へ戻ろうとした。
しかしそのとき再度、彼女は気配を感じ取った。
これは、殺気だ。
((……来る!!))