第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
「サスケくん…やっぱり兄弟ね。あのイタチ以上の能力を秘めた目をしてる」
「!?」
イタチという名に、サスケの瞳は大きく見開かれた。
「お前は一体何者だ!?」
サスケは含みある男に食って掛かった。
しかしまたもや苛烈な眼光を叩き込まれ、その身は金縛りを受ける。
「私の名は大蛇丸。もしキミが再び私と出会いたいと思うなら……この試験を死に物狂いで駆け上がってきなさい」
大蛇丸は先ほどナルトから奪った天の書を手に、それを燃やした。
「私の配下、音忍三人衆を破ってね…」
そう言って、厭らしい笑みを貼り付ける。
「何わけわかんないこと言ってんのよ!アンタの顔なんて二度と見たくないわよ!」
サクラの怒号に、大蛇丸はニタリと笑い
「そうは…いかないのよ」
言うが早いか、大蛇丸の首がろくろのように長く伸び、サスケの首に噛み付いた。
「「!!!」」
吸血鬼が血を啜るようなその行動に、リエとサクラは驚愕の色を浮かべる。
「サスケから離れて!!」
リエが投げたクナイを難なく避けた大蛇丸は首を元に戻し、満足げな様子で口角を割る。
「サスケくんは必ず私を求める。力を求めてね」
「…ぐっ!な、何だ…急に……苦し……」
「サスケくん!?」
ぐらりと崩れたサスケの身体を、隣にいたサクラが抱きとめる。
リエは慌ててサスケの元へと走り傷跡を覗き込むと、その噛み痕には浮かぶ妖しげな紋様があった。
勾玉を3つ丸く並べたような、そんな呪印が。
「ぐぉ……っ」
サスケの激しい喘ぎにリエの顔は見る見る色を失った。
近くにいるだけでも感じる。
禍々しい気の流れ。
「サスケに何をしたの!?」
「別れのプレゼントをあげたのよ…。リエちゃん、あなたも早く力を取り戻しなさい。昔のあなたはとても魅力的だったわ…それこそ、“うちは”と同じか……それ以上にね」
大蛇丸は意味深な言葉を残すと、足場にしていた木の枝に飲み込まれるように姿を消した。
想像の域を遥かに超えた男だった。
追うにも姿も気配もすでにない。
しかし、残されたリエ達に安堵の息を吐く暇さえなかった。
サスケの状態は尋常ではなかったのだ。