第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
鋭い音と共にリエの肘鉄が女の腹にめり込んだ。
女の抵抗と反撃で身体に如何程かダメージを受けたが、この好機を逃すまいと、リエは連撃を加える。
そしてサスケもまた、その機を逃さなかった。
右手足を木の幹に引っ掛け、それを軸として反動をつけた。
その力を今まさに放つ風車手裏剣に乗せる。
その武具たちには鋼鉄の糸を結んでいた。
“暗器、剛糸線”
忍具のひとつだ。
「リエ、さがれ!!」
サスケは武具を結った反対側の先端を口に咥え、敵に向かって投げつける。
サスケの声を合図にリエが女から即座に離れたその瞬間、武具が女の体に迫り捕らえた。
「こ…これは……写輪眼操風車三ノ太刀!!」
女が驚愕の声を上げると同時に、サスケがすぐさま印を結ぶ。
「火遁・龍火の術!!」
一閃の業火は糸を伝うと一直線に敵に向かい……
そして直撃した。
肉の焼ける嫌な臭気が立ち込める。
相手を退けた安堵に、ようやくリエの肩から力が抜けた。
「やったぁ!!」
傍観していたサクラは思わず歓喜の声を上げる。
そしてリエがサスケとサクラの元へと赴こうとした、そのとき。
「……その歳でここまで写輪眼を使いこなせるとはね。流石うちはの名を継ぐ男だわ」
「「「!!?」」」
あれだけの攻撃をその身に受けてなお、女は膝を着かなかったのだ。
「やっぱり私は…キミが欲しい……」
そして女はその不気味な目で、サスケの次にリエを捉える。
「あなた…リエちゃんだったかしら。そう、空風の娘ね……大きくなったわねぇ」
「…私を……知っているの?」
「えぇ、知っているわ。直接会うのは今回が初めてだけどね……」
言葉を綴る女の声は、聞き覚えのないものに変わった。
男の声だ。
これがヤツの本来の声なのだろうか。
同時にべろりと顔の表皮がまくれる。
まるで、爬虫類が脱皮をするように。