第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
「ぐわぁぁっ!!」
のたうち回るように、サスケは苦しんでいる。
サクラはサスケの絶叫に、慌てふためくことしか出来なかった。
「…サ、サスケくん……しっかりしてっ!!」
「ガァッ!!…ぁあああああっ!!」
「どうしよう……どうしようリエ!!」
頭を抱え、狂ったように吼えるサスケを見て、サクラが涙ながらにリエに尋ねてくる。
サスケの手がゆらりと宙をさ迷い、リエの手を見つけると痛いくらいに強く握った。
その手は信じられないほど熱い。
手は握られているものの彼の意識はすでになく、昏倒してしまったようだ。
額に触れれば非常に熱が高いことがわかる。
「…とにかく…サスケとナルトくんを安静にしないと……」
大きく深呼吸して、困惑する頭を少しでも落ち着かせようとする。
大蛇丸が言っていたことも気にはなったが、今はそれどころではない。
サスケの熱すぎる手がリエを焦らせ、
同時に何とかしないと、という意識に支配される。
「とりあえずサクラちゃん、ナルトくん連れて来てくれる?…その後安全そうなところに移動して、二人を休ませよう」
未だ木に留められたままのナルトをチラと見て言うと、サクラは慌てて彼の元へ向かった。
すでに皆戦える状態ではない。
サスケとナルトは意識がなく、サクラは取り乱し、リエにしても大蛇丸との戦闘で受けた傷は浅くはない。
本当は歩くのも辛いはずなのに、リエはそれを表には出さず気丈に振舞っていた。
今はそんな弱音を吐いている場合ではないという思いだけでリエは今動いている。
いつもサスケに甘えていた。
しっかりしなければと思いつつ、どこかで彼を頼っていた。
泣いても騒いでも、誰も助けてはくれない状況の今こそ
自分が皆を守らなければ。
その思いを示すように、リエの瞳に強い意志が宿る。
サクラがナルトを連れて来ると、すぐに二人は身を潜められる場所を探した。
出来る限り気配を絶って、迅速に行動する。
ここにいては、標的になるだけだ。