第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
再度激しい突風が彼らを襲い、それが止んだとき四人の目の前に現れたものは…
今までとは比べものにもならぬ程の……大蛇だった。
「逃げろ、ナルト!!」
一直線にナルトにおろされた大きな尾が周囲の木々諸々をなぎ倒す。
「ぐあっ!!」
ナルトの体は粉砕された木屑とともに、より大きな樹木の幹へと叩きつけられ、背を強打した彼はいかほどかの吐血をした。
大木に激突し弾むように跳ね返ったナルトは、またも空中を彷徨う。
女は自らの足場にしていた蛇を促した。
「ふふ…取りあえず、喰らっておきなさい」
餌を与えられた大蛇は待ってましたと言わんばかりに大口を開け、その中からチロチロと長い舌を覗かせる。
ナルトはそのまま成す術もないーーー
誰もがそう思ったとき。
紅く激しいあまりにも強大なチャクラが、ナルトの周りを渦巻いたのだ。
それは、波の国で感じたそれと同じもの。
いつもは蒼い彼の瞳が、今は真紅に輝いている。
ナルトは迫る大蛇の鼻っ面を、何度も何度も、凄まじい力で殴り続け、
力任せに暴れ倒した。
三人は目を白黒させながら、戦局を見守ることとなった。
ナルトの猛襲により事態は好転したかと思われた。
しかしそれほど容易く片付く相手ではない。
女は三度突風を起こし、暴走を制した。
隙をついて、今度はサスケに迫る。
「次はサスケくん!あなたよ!どう出る !?」
大蛇はその巨体からは到底推し量れぬほどの速度で一気に距離をつめて来る。
いつもならばそれくらい持ち前の戦闘センスで切り抜けるサスケも、今では彼の体は司令塔を失ったように立ち尽くすのみだった。
サスケの危機を目の前に、リエの脳裏に波の国で見た傷だらけのサスケの姿が浮かんだ。
((死ぬことよりも…サスケを失うことの方がもっと、ずっと恐い…!))
サスケの眼前に、ハニーブラウン色の髪がなびく。
皆が目を見開いて驚いた。
先ほどまで震えて動けなかった華奢な少女が、果敢にもサスケと大蛇の前に飛び出たのだ。
サスケへの想いが、リエの中にあった女に対する恐怖に勝った瞬間だった。
((私が…サスケを守るんだ!))