第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
しかしそのとき。
女の行く手を阻むように、数枚の手裏剣とクナイが進路の幹にうたれた。
「悪いな皆……合言葉は、忘れちまったぜ!」
そう、ナルトだった。
自信たっぷりに胸を張って現れたのだ。
「やいやいやい!!どーやらお前ってば、弱い者イジメしちゃってくれたみたいだな!!」
ナルトは更に敵を煽る。
「ナルト!かっこつけて助けに来たつもりだろーが…出しゃばるな!逃げろ!!」
サスケはこの戦いの最中、写輪眼を閉眼し、忍具ポーチから巻物を取り出した。
「巻物なら……お前にやる。頼む、これを持って引いてくれ」
言うとサスケは女に向け巻物を放った。
しかしこれにナルトは激昂した。
放り出された巻物を横から奪い去り、サスケを殴り飛ばしたのだ。
「……テメーは、サスケの偽者だろ…!」
サスケは一瞬の隙をつかれたが、すぐに体勢を取り直し近場の枝に受け身を取った。
「この…ウスラトンカチが!オレは本物だ!」
「嘘つけっ!こんなバカで腰抜けヤローは、ぜってーオレの知ってるサスケじゃねー!!」
直情的なナルトの台詞は、サスケの心を抉った。
彼としても逃げるなど本位ではないのだ。
だがしかし、死んでしまっては元も子もないと。
それが賢明な判断だと、そう思ったのだ。
しかし我知らず、ナルトは無情にもサスケを追い詰める。
「こいつに巻物渡しても、オレ達を見逃してくれる保証はねぇ!!ビビッて状況わかってねーのは…お前の方だってばよ!」
結果的にその言葉は、サスケの視界をクリアにした。
これは既に試験などでは収まりきれぬものだった。
確かに純粋な受験者なら、巻物さえ差し出せば丸く収まったかもしれない。
だが目の前の敵は、ただ殺しを楽しんでいるだけだ。
「フフフ…ナルト君の言うとおりよ…巻物なんて、殺して奪えばいいんだからね!」
言葉と共に印を結ぶ。
その瞬間、女の周囲を大量のチャクラが渦巻いた。
「……口寄せの術」