第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
中忍選抜第二次試験官みたらしアンコに連れられ、一次試験及第者たちは次なる試験場へ訪れた。
第四十四演習場、通称“死の森”。
半径約十キロにも及ぶ巨大な円形の密林がそのまま堅牢なフェンスで切り取られており、フェンスを一周するように四十四個の扉が囲んでいた。
それ以外は一切の通行は不可能。
生息物は哺乳類から危険な毒蛇や虫まで多種多様だという。
青い果実 17
第二次試験はここでのサバイバル試験。
事前に渡された巻物を手にし、森の中央に建つ塔に五日間以内に辿り着かなくてはいけない。
しかし巻物は天地の二種類。
事前に手にするのはどちらかひとつだけ。
要は本試験受験二十六チームでの巻物争奪合戦を要求されたのだ。
故に最大半数のチームまでしか、及第を余儀なくされた。
更にここより、殺生与奪までも解禁となる。
それに際し、各自に武具・忍具の使用までも許可が下りたのだった。
各受験者には死亡を想定して、同意書が配られる。
ここからは命を賭けて戦わなければならないのだ。
ナルトとアンコの間で一悶着ある間に、リエとサスケは少し離れた場所で同意書を見つめていた。
無意識にリエからこぼれたため息に、サスケは心配そうに彼女を見る。
「大丈夫か?」
「うん……大丈夫だよ」
顔は笑みを作っていたが、握られた拳は微かに震えていた。
サスケはそっとリエの手を取る。
強豪集うこの試験、かくも自分よりも力のある者はもちろん、殺しを楽しむ輩だっているはずだ。
甘えたことは通じない。
それでもサスケは、この白い手を穢したくはなかった。
「オレが守るから……必ず」
「サスケ……」
リエは緩やかに微笑み、その手を握り返した。
「私も頑張る。サスケを守れるように」
波の国でのようなことか起きないように。
もう二度と、愛する人を失いたくないから。