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青い果実【NARUTO】

第16章 中忍試験〜一次試験〜



一安心…
と肩の力を抜いたそのとき。

けたたましい音と共に会場の窓ガラスが飛散し、黒い物体が凄まじい速さで転がり込んで来た。

「なっ……なんだぁ!?」

唖然と自失する合格者の眼前。

黒い塊はその四方をクナイでうたれ、一枚の大きな垂れ幕となった。

その中央に、一人の女性が現れる。

「アンタ達、喜んでる場合じゃないわよ!!」

垂れ幕には“第二試験官 みたらしアンコ見参”の文字。

よもやタイミングを計り、ずっと様子を伺っていたのだろうか。

「次いくわよ次ぃ!!ついてらっしゃい!!」

イビキのキャラが薄れてしまうほど、強烈な印象で現れた試験官は第二試験の長のようだ。

登場の仕方がまるで波の国のときのナルトのようだと思ったのは、きっとリエだけではないだろう。

サスケも微妙に顔をしかめていた。

休む間もなく、合格した七十九名は次なる試験会場へと赴くこととなった。






「シカマルくん、ありがとね」

「んぁ?」

試験終了後、リエは隣で眠っていたシカマルに声をかけた。

この状況で眠れる彼は、ある意味すごいと思う。

「シカマルくんがいなかったら、私何も出来なかったと思う。声かけてくれて本当にありがとう」

「あぁいや……それよりもリエ…お前……」

「なぁに?」

柔らかい眼差しでまっすぐに自分を見つめるリエを目の前に、シカマルは内心戸惑っていた。

今のリエはいつも通り穏やかで柔らかい雰囲気を纏っている。

瞳の色の変化も、あの威圧感も
まるで夢か幻だったかのように。

「……いや…顔色良くねーけど大丈夫か?」

「ホント?緊張しすぎて疲れたのかな?でも大丈夫だよ」

「…そうか。二次試験もテキトーに頑張れよ」

「うん。シカマルくんも」

笑顔で手を振って班の仲間の元へと駆けて行くリエの背中を見つめるシカマルに、チョウジが声をかけた。

「どうしたの、シカマル」

「…なんでもねー。あー二次試験か、めんどくせー」





((見間違い…じゃねーよな。でも…))

シカマルはなんとなく、
リエを見ていて、彼女自身、自分のことをよくわかっていないのではないかという気がして、聞けなかった。


リエの知らない一面。

彼女を、もっと知りたい。


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