第2章 出会い
「リエちゃん……」
母もイタチと同じことを思ったのか、ミコトはそっとリエを抱きしめた。
「迷惑なんかじゃないわ。私はリエちゃんと昨日会ったばかりだけど、一緒に暮らしたいって、本当に思っているの。一人に慣れているなんて……寂しいこと言わないで」
優しい抱擁に、あれだけ流した涙がまた溢れそうになる。
“お母さん”がこんなに温かいことを、リエは覚えていないのだ。
「子供が遠慮なんてしなくていい」
静かに言ったのはフガクだ。
笑顔はないが、その声色は確かに優しかった。
「修行、とか…一緒にしてやってもいいぜ」
サスケは精一杯探した言葉がそれだったようだ。
何でもわりかし器用にこなす弟がリエに対して不器用になってしまう変わりようが、イタチには微笑ましく思えた。
イタチはリエを真っ直ぐ見て頷いただけで、彼女に声をかけることはなかった。
しかしそれだけで、イタチの気持ちはリエに伝わってくる。
リエの胸中は感謝の気持ちでいっぱいだった。
血も繋がっていない他人の自分をここまで思ってくれるなんて、なんて優しい人達なのだろう。
自分はなんて幸せなのだろうと、リエは感じてた。
「………ありがとうございます。お世話に、なります」
彼女が向けた微笑みは、先程とは違う。
心の底からの笑顔だった。