第2章 出会い
「そんなご迷惑はかけられません!昨日だけでも、すごくお世話になったのに……」
翌朝目覚めたリエへの「一緒に暮らそう」の返答がこれだった。
「皆さんのお気持ち、とても嬉しいです。本当にありがとうございます。でも…私は大丈夫です」
そう言ってリエは笑顔をつくる。
しかし泣き腫らした顔は誰の目にも明らかで、その笑顔に無理があることなんてサスケですらわかるほどだ。
「今までもお父さんが……父が任務でいないときは一人でしたし。慣れて、ますから」
努めて明るくしようとしているが、それがかえって痛々しかった。
任務で自分が傍にいられないときは誰かしら傍にいるようにとテルヤが配慮していた為、リエは昔から大人に囲まれていることが多かった。
そのせいか人に気を遣うことを覚えるのが早く、人に迷惑をかけたくないという思いがいつしか芽生えていた。
忙しい父親を見てきたせいか、甘えるということを知らないのかもしれない。
それが父を亡くし、一気に加速したようにイタチには見えた。
そして、この年でそんなに大人びた考えを持たなくてはならなくなったリエが、不憫でもあった。