第16章 中忍試験〜一次試験〜
頭を抱えつつ目を閉じていると、色んな音が聞こえてきた。
なんとか打開策になるヒントを探そうと、リエは全神経を耳に集中する。
筆の音に混じるのは
虫の飛ぶ音、キバの相棒赤丸の小さな声、何かを操るような機械の音……
ふわりと吹いた風がリエの髪を微かに揺らした。
((……声が、聞こえる))
何処からともなく聞こえる声。
男かも女かもわからない。
ノイズがかかったようなその声は、わずかな言葉しか聞き取れない。
でも何故か、耳馴染みの良い優しい声に聞こえた。
((……問題の…答え?…誰かが私に教えてくれてるの?それとも…この辺にいる仲間に教えようとしている声が聞こえているだけかな?))
理由は何であれ、このチャンスを逃す手はない。
((誰かわからないけど、どうもありがとう!))
微かに聞こえる声を頼りに、リエは少しずつ答案を埋めていった。
頭を抱えていたと思ったら急に筆を動かし始めたリエを横目でチラリと見やったシカマルは、ギョッとした。
((なんだ…?))
いつもの彼女の瞳とは違う金色に変色したそれを見て、シカマルの背筋に冷たいものが走った。
普段柔らかなその瞳から、威圧的な力を感じたのだ。
((忍術か…?いやでも、瞳の色が変わるなんて…まさかリエのやつ、瞳術使いだったのか?))
木ノ葉では、うちはと日向の瞳術以外は聞いたことがない。
自分が知らないだけか。
それともーーーー
((……なんも知らねーんだなオレ。リエのこと。………寝よ))
シカマルはリエの瞳の重圧から逃れるように、目を閉じた。
カンニングを見つかり退場を余儀なくされる者。
また巧く解き明かしていく者。
結局開始から四十分経過後、十三組が脱落していった。
そして、そのときは来た。