第15章 中忍試験〜強者〜
「サスケくん、最後に一言、言っておきます」
リーはほどけたバンテージを丁寧に巻きなおしながら、サスケに言った。
「実のところ、ボクは自分の能力を確かめるためにここへ出てきました。…さっき、ボクは嘘をついたんです。木の葉の下忍で一番強い男は、ボクのチーム内にいます。ボクはそいつを倒すために出場しました」
そして君もターゲットの一人だ。
そう告げると、リーもまたその場を去っていった。
宣戦布告を受け、しかも幾ばくも敵わなかったサスケは、ギリッと歯軋りをした。
その瞳には深い焦燥感と、己に対する怒りがのたうつ。
そんな彼に、リエにはかける言葉が見つからなかった。
結果がわかっていた勝負。
サスケがこうなることは予想出来たのに。
しかしそこに割り込んだのは、ナルトだった。
「なーんだ!うちは一族もたいしたことねーんじゃねーの?」
「ナルト!」
毒吐くナルトを、サクラが慌てて諌める。
「……うるせー。次はあいつをのしてやる」
「フン!ボロ負けしたくせによ」
ナルトは更にサスケを追い立てた。
「お前も見ただろ、あいつの手。あのゲジマユは、すっげー特訓したんだろ。毎日毎日 ……お前よりもな」
それだけのことだってばよ、と。
サスケもわかっているのだ。
自分も遊んでいたわけではない。
ただ、足りなかった。
修行も、戦闘経験も。
ナルトの言葉で、彼の脳内の霞は晴れたようだった。
((オレまだ強くなれる。今は手も届かぬ、ヤツと同じところに上り詰めるために。そしてこの手で……))
ぐっと見つめた拳を握り締めると、サスケはニッと笑った。
「フン……面白くなって来たじゃねーか……中忍試験。この先がよ!」
そう言葉にするサスケの瞳に、影はない。
好戦的で挑戦的な、いつもの笑みだ。
「行くか、リエ、ナルト、サクラ!」
そして四人は、再び目的地へと歩き出す。
「ところで、リエはあの濃ゆいのとかと知り合いっぽかったけど、どういう関係なわけ?」
サクラの問いに、リエは皆の反応を先読みして苦笑した。
「えっと、実はガイ先生、私の体術の師匠で……リーさんは兄弟子なんだ」
「「えぇっ!!!?」」
((聞いてないぞ、そんなこと!))
こちらもこちらで、様々な思いを秘めていた。