第15章 中忍試験〜強者〜
むさい熱血抱擁が終わったガイは、四人に向き直る。
「君達、カカシ先生は元気かい?」
聞き知ったその名に、サスケはガイを仰ぎ見た。
「カカシを知ってんのか?」
「知ってるも何も……ククッ……」
顎をしゃくり、自慢気なガイは……
一瞬で姿を眩まし、そして四人の背後を取った。
「人は僕らのことを永遠のライバルと呼ぶよ……」
「「「!!!!」」」
振り返り、ガイの表情を覗き見た。
そこには真っ白な歯を煌かせ、余裕の笑み。
「五十勝四十九敗。カカシより強いよ、俺は……」
確かにカカシよりも素早かったように感じる。
((……人間か!?))
その有り得ないスピードにサスケは愕然とした。
「リエもかれこれ久しぶりだなぁ!立派になって先生は嬉しいぞ!!」
「お元気そうでなによりです。ガイ先生」
七班の面々はこの濃いのと知り合い発言をしたリエを驚き見た。
彼がリエの頭を豪快に撫でているところを見ると、かなり親しい仲のようだ。
「どうです!!ガイ先生は凄いでしょう!!」
まるで自分のことの様に胸を張るリー。
ガイをよほど敬愛しているのだろう。
「今回はリーが迷惑をかけたが、俺の顔に免じて許してくれ」
そう言うとガイはバンテージを未だ縫い止めたままの風車に、クナイを投げた。
当然それは中心に当たり、反動でバンテージは解放される。
はらりと地に落ちたそれの隙間から、不意にリーの拳が覗いた。
その傷だらけの拳は、見慣れているリエ以外の三人に強烈な印象を与えた。
それは凄まじい修行の痕。
「じゃ、頑張れよ、リーにリエ!あばよ!!」
嵐の様に現れたガイは、それだけ述べると姿を消したのだった。