第15章 中忍試験〜強者〜
サスケは真っ向からリーの懐に飛び込んだ。
「木ノ葉旋風!!」
リーは先ほどのナルトの攻撃のときと同様に、やはりカウンターを狙ってきた。
サスケの頭部に左からの回し蹴りだ。
それを寸でのところでかわし、更に体勢を立て直すサスケ。
しかし木ノ葉旋風は先ほどの技とはまるで違った。
左足を回しきって、その反動を使った両蹴りの技だったのだ。
右足は反動に乗り、同じ軌道を描いて迫る。
一度目の蹴りはギリギリで回避出来たものの、連動した技までは対処出来なかった。
サスケは咄嗟に両腕で顎とこめかみを守った。
そこにリーの目は光る。
見切り。
防御に徹していたサスケは、あろうことか
鈍い音と共に空中に投げ出された。
「ぐっ……!」
ガードは間にあっていた。
しかしリーの足はすり抜けたのだ。
((幻術?それとも……忍術か?))
サスケはゆらりと立ち上がる。
((こうなったら、アレを使い慣らすいいチャンスだ))
リーの攻撃になんらかの裏を感じたサスケは瞳を閉じ
……そして開眼した。
彼の瞳は紅。
宿るそれは……写輪眼。
リエはサスケから波の国で開眼したとは聞いていたのだが、実際に見てみるとやはり驚いてしまう。
一番傍にいるはずなのに、彼の成長には驚かされてばかりだ。
うちは一族の比類なき強さをもつサスケは、一歩一歩着実に高みに手を伸ばしている。
((…でも、リーさんに写輪眼は通用しない))
リーは忍術を一切使わない、己の体だけを極める体術使いだ。
幻術や忍術を見極める為の開眼なら、写輪眼は全く意味をなさない。
動きをコピーしようとも、スピードはリーの方が圧倒的に勝っている。
サスケの写輪眼にリーは強く高揚した。
彼はその力にこそ、対したかったのだ。
サスケは彼の“術”の秘密を暴くために、再びリーとの距離をつめる。
しかし気づけば懐を付かれたのは、サスケだった。
下顎を股下から強力に蹴り上げ、サスケの体は真っ直ぐ宙に浮かされる。
「そう……ボクの技は忍術でも幻術でもない」
飛ばされたサスケの体に、リーは舞うように寄り添う。
「…くっ…影舞葉……!!」
技をかけるため、リーの腕に固く巻きついていたバンテージがほどけた。
しかし闘いは、意外な結末で幕を下ろすこととなる。